TOP MESSAGE

トップメッセージ

代表取締役社長
坪田一男 / Kazuo Tsubota

この度、私ども株式会社坪田ラボは、東証グロース市場に上場させて頂くこととなりました。ひとえに皆様のご支援の賜であり、これまでにご縁をいただいたすべての皆様に心からの感謝を申し上げます。またこの大きな節目を機に、これからいただく多くの皆様とのご縁に思いを馳せ、深甚なる喜びを感じております。心からお礼申し上げます。

坪田ラボは“ビジョナリーイノベーションで未来をごきげんにする!”をミッションに掲げ、「近視、ドライアイ、老眼の治療に革新的なイノベーションを起こす」を目標とする慶應義塾大学医学部発ベンチャーです。

2007年に学校教育法が改正され、大学の責務として「イノベーション」と「産業創生」という観点が盛り込まれました。従来、大学の目的は研究と教育にある、とされてきましたが、この改正により、大学も新たな産業の創生に関わる義務があることが明記されたのです。これを受けて慶應義塾大学医学部でも、さまざまなスタートアップベンチャーが生まれました。その一つとして、坪田ラボは眼科領域の新産業創生を目指して設立されました。

坪田ラボが重点を置く3領域のうち、私達はまず、世界中で激増する近視に対するイノベーションに注力しています。人類はもともと遠視でしたが、産業革命以後に都市の形成が進むにつれ、人々が屋内で過ごす時間が増えて近くを見る「近見作業」が急増しました。その結果、目の焦点を近くに合わせるための調節負荷が強くなり、目の血流が悪化、虚血の状態となります。これが近視になる基本的なメカニズムです。

「近見作業」が近視の発症、悪化の原因である一方、近視の進行を抑制する鍵が、太陽光を浴びる屋外活動です。私達は、太陽光に含まれる紫色の光「バイオレットライト」が網膜神経節細胞に発現する非視覚系光受容体OPN5を刺激して、目の血流を増加させ近視進行を予防することを世界で初めて発見しました。近年の近視の世界的増加は、近見作業の増加に加えて、現代人の屋外活動時間が減少し、バイオレットライトを浴びる量が大幅に減っていることが原因なのです。

この原理に基づき、私達はバイオレットライトを供給するメガネ型の医療機器を開発し、現在検証治験を行っています。先行して行った探索治験で確認された安全性に加えて、効果をしっかりと見極め、近い将来の日本、そして世界の近視問題を解決するソリューションを提供して参ります。さらにOPN5はバイオレットライトを受けて脳の血流を増大させる作用があることも確認しており、うつや認知症の治療への応用を目指し、研究を進めています。

これら確固たるエビデンスに基づく「強いサイエンス」を土台としている点が、坪田ラボの事業の最大の特徴ですが、それに加えてコマーシャリゼーション(商業化)の確実性も大きな強みだと考えています。大学発ベンチャーとしては珍しく、設立当初から利益を出してきました。確保した利益を健全に研究に投資し、途切れることなく世界にチャレンジしていく。短期の利益の最大化と、長期の成長の両立を目指す――私達にはそれができると確信しています。

今回の上場を機に、さらにごきげんで、世界と勝負できる人材を、研究、臨床開発、コマーシャリゼーション、知財、法務などの各領域で募り、最高のチームビルディングを進めて参ります。数年以内のアメリカ進出も予定しています。皆様、これからもどうぞよろしくお願い致します!!

2022年6月23日

代表取締役社長坪田一男